月乃風味
オリジナル小説サイト「ふれいば」の管理人・月乃宮のブログです♪時々こちらでも小説連載してます。
サイバーステーション (1)-4
何も見えない・・・久しぶりの停電か、と晴海はため息をつく。
こういう時は大人しく、じっとしているのが一番だ。
下手に動くと、コードとか足に引っ掛けて転ぶかもしれない。
どうせ数分の事だろう、と晴海は軽く欠伸をする。
フッ、と目を閉じて、再び開くと・・・
「な・・・なに、ここ?」
別世界が目の前に広がっていた。
(2)-1
大勢の、人、人、人・・・
埃っぽいタイルを敷き詰めた地面・・・そこに、晴海は座り込んでいた。
右手はマウスを構えたポジションのまま、宙に浮いている。
それがパタリ、と膝の上に落下した。
「なに、ここ?」
もう一度、誰ともなしに問いかける。
フラリと立ち上がって上を見上げると、床と同じような作りの高い天井が広がっていた。
横を見ると、たくさんの人々が列を組んで並んでいる。
その先には、真っ黒い壁が見えた。
と思ったら、突然地響きのような音が鳴り始める。
腰が引けたように後ろへとよろけた晴海の背中に、何か固いものがぶつかった。
驚いて振り向くと、真っ白い石膏のようなレンガを積み上げた壁があった。
―――だ、誰か・・・
近くにいる誰かに声を掛けようとして、しかし、いったん躊躇する。
見たことのない服装、色とりどりの髪、顔立ちも日本人とどこか違う、そんな人ばかりなのだ。
―――夢?そーよ・・・夢よ、これは・・・
そう思ったら、ようやく落ち着いてきた。
晴海は自分の体を見下ろし、先刻まで着ていたスウェットを確認する。
『どうせ夢の中なら、もう少しマシな格好でもいいのに』と、なんだか妙におかしくなる。
辺りから聞こえてくるさざめきは、耳にしたことないような言語ばかりだ。
これでは誰に話しかけても、言葉が通じないに違いない。
しかし、ここは夢の中。
誰に何を聞かなくても、別に構うことはない。
そう思って、晴海はずんずんと人ごみの中をかき分けて歩き出した。
裸足の足が、床にこすれて痛い。
時折、反対側から向ってくる人にぶつかったりして、よろけそうになる。
空気が濁っている、口が渇く、手の先がしびれてくる。
実にリアリティのある夢である。
数分も歩かぬうちに、突如横から伸びてきた手に腕を掴まれた。
その感触が、やけにリアルで・・・
「お前が・・・ハルか」
「え?」
「勝手に動くんじゃねぇ。探しちまったじゃねーか」
現れたのは、スラリとした背の高い男だった。
バサバサとした金髪に、青い瞳。
西洋人とも東洋人ともつかぬ、しかし整った顔立ち。
その表情は、どこか驚いているようで・・・
「・・・て、お前、まさか女!?」
「女、ですね・・・?」
晴海は思わず、間抜けな返答をしてしまう。
男は頭ひとつ分はゆうに高い背をかがめ、晴海の顔をまじまじと覗き込んだ。
それからチッ、と舌打ちをして、思いっきり不機嫌そうな表情を浮かべる。
「くそっ・・・女じゃねーか。何考えてんだ、テラの奴め」
「???」
「仕方ねぇな。じゃ、まぁ行くか。さっそく仕事があるんだ。なるたけ足手まといになるんじゃねーぞ?」
相変わらず腕は握られたまま、晴海は男に引きずられるようにして歩きだした。
スウェット越しにつかまれた二の腕が、じんじんとする。
本当に、実にリアリティのある夢である。
(つづく)
--------------------
夢と信じたい、そんな現実がある。
こういう時は大人しく、じっとしているのが一番だ。
下手に動くと、コードとか足に引っ掛けて転ぶかもしれない。
どうせ数分の事だろう、と晴海は軽く欠伸をする。
フッ、と目を閉じて、再び開くと・・・
「な・・・なに、ここ?」
別世界が目の前に広がっていた。
(2)-1
大勢の、人、人、人・・・
埃っぽいタイルを敷き詰めた地面・・・そこに、晴海は座り込んでいた。
右手はマウスを構えたポジションのまま、宙に浮いている。
それがパタリ、と膝の上に落下した。
「なに、ここ?」
もう一度、誰ともなしに問いかける。
フラリと立ち上がって上を見上げると、床と同じような作りの高い天井が広がっていた。
横を見ると、たくさんの人々が列を組んで並んでいる。
その先には、真っ黒い壁が見えた。
と思ったら、突然地響きのような音が鳴り始める。
腰が引けたように後ろへとよろけた晴海の背中に、何か固いものがぶつかった。
驚いて振り向くと、真っ白い石膏のようなレンガを積み上げた壁があった。
―――だ、誰か・・・
近くにいる誰かに声を掛けようとして、しかし、いったん躊躇する。
見たことのない服装、色とりどりの髪、顔立ちも日本人とどこか違う、そんな人ばかりなのだ。
―――夢?そーよ・・・夢よ、これは・・・
そう思ったら、ようやく落ち着いてきた。
晴海は自分の体を見下ろし、先刻まで着ていたスウェットを確認する。
『どうせ夢の中なら、もう少しマシな格好でもいいのに』と、なんだか妙におかしくなる。
辺りから聞こえてくるさざめきは、耳にしたことないような言語ばかりだ。
これでは誰に話しかけても、言葉が通じないに違いない。
しかし、ここは夢の中。
誰に何を聞かなくても、別に構うことはない。
そう思って、晴海はずんずんと人ごみの中をかき分けて歩き出した。
裸足の足が、床にこすれて痛い。
時折、反対側から向ってくる人にぶつかったりして、よろけそうになる。
空気が濁っている、口が渇く、手の先がしびれてくる。
実にリアリティのある夢である。
数分も歩かぬうちに、突如横から伸びてきた手に腕を掴まれた。
その感触が、やけにリアルで・・・
「お前が・・・ハルか」
「え?」
「勝手に動くんじゃねぇ。探しちまったじゃねーか」
現れたのは、スラリとした背の高い男だった。
バサバサとした金髪に、青い瞳。
西洋人とも東洋人ともつかぬ、しかし整った顔立ち。
その表情は、どこか驚いているようで・・・
「・・・て、お前、まさか女!?」
「女、ですね・・・?」
晴海は思わず、間抜けな返答をしてしまう。
男は頭ひとつ分はゆうに高い背をかがめ、晴海の顔をまじまじと覗き込んだ。
それからチッ、と舌打ちをして、思いっきり不機嫌そうな表情を浮かべる。
「くそっ・・・女じゃねーか。何考えてんだ、テラの奴め」
「???」
「仕方ねぇな。じゃ、まぁ行くか。さっそく仕事があるんだ。なるたけ足手まといになるんじゃねーぞ?」
相変わらず腕は握られたまま、晴海は男に引きずられるようにして歩きだした。
スウェット越しにつかまれた二の腕が、じんじんとする。
本当に、実にリアリティのある夢である。
(つづく)
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夢と信じたい、そんな現実がある。

