月乃風味
オリジナル小説サイト「ふれいば」の管理人・月乃宮のブログです♪時々こちらでも小説連載してます。
サイバーステーション (2)-2
社会人になって思ったことは、自分は駒(コマ)に過ぎないのだということ。
会社、ひいては社会という巨大なゲーム盤の中で動かされる、何千何百という駒の一つ。
その中には当然、利用価値のない駒や、いわゆる『捨て駒』もある。
自分はそんな駒のひとつなのだ、と晴海は感じていた。
―――必要のない人間なんかいない、なんて、しあわせな人の理屈だわ。
晴海は時折、不幸って何だろう、と考える。
仕事がないことが不幸なのか。
恋人がいないことが不幸なのか。
誰かにだまされることが不幸なのか。
そもそも、不幸である条件なんてあるのか。
皆、しあわせって何だろうと考えてばかりで、右を向いても左を向いても一向に埒があかない。
誰かが、しあわせは得るものじゃなくて感じることだ、と言っていた。
しかし、と晴海は思う・・・しあわせを感じるには、その前に何かしら得たから感じるものじゃないか、と。
その何か、とは一体何なのか。何を得たら、しあわせを感じるのか。
晴海は、目の前で次々と料理を片づけていくゼットを眺めながらため息を漏らした。
実にいい食べっぷりである・・・何の心配事も無い、というくらいに。
二人がいるレストランは盛況で、時折あちこちのテーブルから笑い声が聞こえてくる。
気軽な雰囲気の店で、客層も様々のようだ・・・少なくとも、晴海が見る限りは。
それというのも、なんせこの世界は晴海の住む世界とかなり違う。
まだこの世界にやってきたばかりで屋内しか歩いてないが、この不可思議なショッピングモールのような建物のインテリアの様子といい、周囲を行き交う人々のいで立ちといい、何より聞こえてくる言葉といい、晴海にはまったく初めてのものばかりだ。
その中で、このゼットという男は初めから晴海を知っていた。
しかもサイステのゲームで使っていた、HNの『ハル』という名前で。
そして何より・・・
「あのう、あなた、どうしてあたしの話す言葉が分かるの?」
「あぁ?」
「だって、ここは別の世界なんでしょう?周りの人達の言葉は、あたしにはまったく分からないし。でもあなたは最初から日本語であたしに話しかけてきたでしょう?」
「当たり前だろ。仕事柄、日本語がしゃべれんのは。大体、俺は7つの頃から訓練受けてきたんだ。ヴァルス・バスターになる修行は甘いもんじゃないんだぜ」
「その、ヴァルス・バスターって仕事が、いまいちまだ飲み込めないんですケド・・・」
ゼットはすっかり料理を平らげてしまった皿をぞんざいにテーブルの端へ押しやると、弓なりのきれいな眉を少しひそめてみせる。
「どうやらはじめっから説明した方がよさそうだな・・・お前、『Cyber-station』ってゲームをやってただろ?」
「はあ」
「あのゲームは、この世界の人間が作ったものなんだ。この世界の名はスィフル。お前らの住む世界から見れば、いわゆる異世界と呼ばれる場所だな」
晴海は身を乗り出して、ゼットの話に耳を傾けた。
(つづく)
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そういや、晴海ってスウェット姿のままでしたね・・・
会社、ひいては社会という巨大なゲーム盤の中で動かされる、何千何百という駒の一つ。
その中には当然、利用価値のない駒や、いわゆる『捨て駒』もある。
自分はそんな駒のひとつなのだ、と晴海は感じていた。
―――必要のない人間なんかいない、なんて、しあわせな人の理屈だわ。
晴海は時折、不幸って何だろう、と考える。
仕事がないことが不幸なのか。
恋人がいないことが不幸なのか。
誰かにだまされることが不幸なのか。
そもそも、不幸である条件なんてあるのか。
皆、しあわせって何だろうと考えてばかりで、右を向いても左を向いても一向に埒があかない。
誰かが、しあわせは得るものじゃなくて感じることだ、と言っていた。
しかし、と晴海は思う・・・しあわせを感じるには、その前に何かしら得たから感じるものじゃないか、と。
その何か、とは一体何なのか。何を得たら、しあわせを感じるのか。
晴海は、目の前で次々と料理を片づけていくゼットを眺めながらため息を漏らした。
実にいい食べっぷりである・・・何の心配事も無い、というくらいに。
二人がいるレストランは盛況で、時折あちこちのテーブルから笑い声が聞こえてくる。
気軽な雰囲気の店で、客層も様々のようだ・・・少なくとも、晴海が見る限りは。
それというのも、なんせこの世界は晴海の住む世界とかなり違う。
まだこの世界にやってきたばかりで屋内しか歩いてないが、この不可思議なショッピングモールのような建物のインテリアの様子といい、周囲を行き交う人々のいで立ちといい、何より聞こえてくる言葉といい、晴海にはまったく初めてのものばかりだ。
その中で、このゼットという男は初めから晴海を知っていた。
しかもサイステのゲームで使っていた、HNの『ハル』という名前で。
そして何より・・・
「あのう、あなた、どうしてあたしの話す言葉が分かるの?」
「あぁ?」
「だって、ここは別の世界なんでしょう?周りの人達の言葉は、あたしにはまったく分からないし。でもあなたは最初から日本語であたしに話しかけてきたでしょう?」
「当たり前だろ。仕事柄、日本語がしゃべれんのは。大体、俺は7つの頃から訓練受けてきたんだ。ヴァルス・バスターになる修行は甘いもんじゃないんだぜ」
「その、ヴァルス・バスターって仕事が、いまいちまだ飲み込めないんですケド・・・」
ゼットはすっかり料理を平らげてしまった皿をぞんざいにテーブルの端へ押しやると、弓なりのきれいな眉を少しひそめてみせる。
「どうやらはじめっから説明した方がよさそうだな・・・お前、『Cyber-station』ってゲームをやってただろ?」
「はあ」
「あのゲームは、この世界の人間が作ったものなんだ。この世界の名はスィフル。お前らの住む世界から見れば、いわゆる異世界と呼ばれる場所だな」
晴海は身を乗り出して、ゼットの話に耳を傾けた。
(つづく)
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そういや、晴海ってスウェット姿のままでしたね・・・

